7月23日〔水〕

午前3時50分起床。
尾岱沼に昇る朝日を撮るために早朝起床です。
尾岱沼は野付半島との間の遠浅の海で、波が無く鏡のような海面が見られる所です。
そこに昇る朝日は絶景だと聞いていました。
また、運が良ければ大気の屈折により四角い太陽が見れるといいます。
早速準備をしてテントから這い出します。

って曇りかよっ!

 生憎、昨日からの雲が晴れていません。
でも、せっかく早起きしたので椅子と三脚を抱えて浜辺へ出ることにします。

「もう日が昇っちゃいましたね…」
「そうだねー、こりゃ朝日は拝めんなぁ。」
「残念ですぅ。 あ、港から船が出てきましたよ?」
「俺等って漁師より早起き? って、あーあ真っ正面で停まったよ。完全にフレームインだなぁ。」

ボーっと眺めていると、船外機を停止した漁船が帆を張りはじめたではないですか。
「あれ?なんだか変わった形の帆ですよ。」
「む、もしやアレは野付名物・打瀬舟か?」
「うたせぶね?」
「うん、野付湾は浅海に藻が繁茂していて、北海島エビの好漁場なんだ。ああやって帆を張って網を曳くんだって。」
「そうなんですかぁ。水面に帆が映って幻想的ですね。」
「ああ、珍しい物観れたよ。」
「ふふっ、早起きして良かったですね♪」
鏡のような海面


テントに戻り、珈琲で体を温めてから撤収します。
今日は、せっかく北海道の東岸まで来ているので、日本最東端を目指すことにします。
今日の夜には和琴半島で京都のふうらいダー
高山氏と合流する約束なので、時間を調節しながら行き当たりばたることにして出発です。

「さぁ、出発するよー 乗って乗って。」
「はーい(ぴょんぴょんっ)」

朝の冷気の中の224号を南下して44号に合流、そのまま東へと向かいます。



そして
納沙布岬にとおつきー!
朝なのにバイクや観光バスがいっぱい停まっていて、人がたくさん居ます。
さすがは観光地と言ったところでしょうか。
最東端のドール
「日本最東端に到着〜♪」
「これで最北端と最東端を制覇したな。」
「しかし、端っこ好きですね〜」
「うっ、これはライダーの習性みたいなもんだよ。さ、とりあえず記念写真を撮ろうか。」
「人がたくさんいますけどいいんですか?」
「いや…みなさん北方領土の方に見入ってるから後ろでこっそり撮れば問題なかろう。」


こういう所では観光客が途切れることがありません。
とはいえ大っぴらに野外撮影するのは各方面に迷惑をかけるので、あくまでこっそりと撮影が基本です。

この日は天気に恵まれて歯舞諸島を肉眼で確認できました。
自分の目で見て、日本には未だ解決していない領土問題があるということを実感しました。
将来、北方領土が返還されたらゼッタイにバイクで旅してやるぞ!




納沙布岬からの帰りに
花咲港へ寄り道します。
目的はもちろん花咲ガニです。
実は北海道に来てから土産を買ってないので、ここで一気に済ませてしまおうという魂胆です。
花咲港に到着して、吉野商店というお店に入ります。
カニを物色していると若い店員さんがやって来て、花咲ガニについて色々教えてくれました。

花咲ガニは捕れる場所によって二種類に分けられるそうです。
全身真っ赤なカニとツメの先などが黒くなっているカニです。
赤いカニは身がギッシリ詰まっていて甘みが強く、逆に黒いカニは水っぽくて風味も弱いらしい。
店頭の花咲ガニの足をボキボキもいで、味見させてくれます。
確かに味が全然違います。っていうか

カニウマー !!(゚Д゚)
 
結局、お土産用に花咲ガニを7杯購入して店内で宅配伝票を書いていると…
「お兄ちゃん、まだ時間あるか?」
「ええ、ありますよ。」
「よかったらサンマの刺身食ってけ。」

とサンマの刺身をゴチになりました。
醤油に一味をかけて食べるのが美味いんだそうです。


「塩鮭も食え、漁師が船で甘塩したやつだから美味いぞぉ。ご飯もいるか?」

なんと塩鮭定食?までゴチになってしまいました。
朝飯を食わずに走っていたので大助かりです。
いやー北海道の人達の暖かさが身に染みます。

とっても親切な吉野商店は花咲港のT字路すぐ手前左側にあります。
花咲ガニを買うなら、是非寄ってみてください(宣伝)

「あのぉ、花咲ガニの写真は?」
「しまったッ 忘れた!」


肝心のカニの写真を撮り忘れてしまいました。

「さて次の目的地は…と。」
「はいはーい、和商市場が良いと思いまーす。」
「そのつもりだったんだけど、花咲ガニも刺身も喰ったから別にいいかなーと。」
「ええ〜!勝手丼はぁ?」
「あれは結局高価くつくんだよ、それに温かいご飯に刺身を載せるのはどうも頂けない。」
「そうなんですか?いろんな所で紹介されてるから美味しいのかと思ってました。」
「まぁ俺的には一度体験すればもういいかなって感じ。」





 というわけで、進路を内陸に向け塘路湖を目指します。
途中、細岡展望台への分岐から近い所に踏切があったのを思い出し、進みます。
「確か未舗装になる前に踏切が…あったあった!」
「わぁ♪釧路川ですね。」
「うん、踏切の近くだろうとアタリをつけて来たんだけど、こんな道端にあったんだな。」
「風雨来記をやってないと通り過ぎちゃいますね。」
「この道へ入ってくる人は細岡展望台が目当てだからなぁ。清流ってわけでもないしね。」
「たしかに濁ってますねー。こんな所に落ちた冬さんは災難です。」
「さすがは落水の第一人者…って、何故に背後にお立ちになる?」
「えいっ 落ちちゃえ♪」
ドン!

「落ちちゃえじゃねェよ、洒落にならんからやめれ!」


気温が低いため落水なんかしたらイッパツで風邪引きさん確定です。
落水後に冬ちゃんが姿を消したのは、
このままタンデムしたら死ヌと感じたからですね、きっと。
このまま朽ち果てて… 釧路川から道を挟んだ所には廃貨車がありました。
ゲーム中にある風景ですねw
これも風来知らない人には何の意味も持たない風景です。
道を走るライダー達が「そこ何か見所なの?」って感じに減速してジロジロ見ていきます。

「何見てんだよ、俺様はこれからお人形の写真撮るんだよ!」
さて、細岡展望台は以前にも行ったことがあるし、この後コッタロ展望台に行く予定なので今回はスルーします。
というわけで、次の目的地は塘路湖です。
なんだか遠方から雷鳴が鳴りひびいているのが不安です。
まさかゲームどおりに雨が降ってきたりしないよな・・・





塘路湖畔の塘路元村キャンプ場に到着しました。
なんつーか普通の寂れたキャンプ場で、オバチャン二人がカラスと格闘しながらお弁当を広げてました。
そんな微笑ましい風景を横目に、樹ちゃんの木その1・雨宿りの木を探します。

「あ、ありましたよ。この木です。」
「枝がボッキリ逝っちゃってるなぁ…」


雨宿りの木は太い枝が折れて、雨宿りできる状態ではなくなってました。
といってもすぐ横に東屋があります。
なんでわざわざ木の下で雨宿りしたんだろ?
ファイティングポーズになってしまった
雨宿りシーンの再現
他の背景も探したのですが、見つけることが出来ませんでした。
北海道は雪のために木の枝振りが一年ごとに変わってしまうみたいです。






そして本日のメインイベントコッタロ展望台へ向かいます。
国道から踏切を渡り、作中と同じくグラベルへと突入します。
昨日のカムイワッカの道にくらべると走りやすいですが、カーブが少ないため4輪がスンゴイ速さで走って行くのが怖いのです。
こんな道を女の子タンデムして走った轍は、
よほど自信があったかただの馬鹿かのどちらかです。
砂埃で真っ白になりつつ、コッタロ展望台に到着。
しばらく休憩してから展望台への階段を登ります。

「ほえ〜 すごい階段ですね〜」
「見上げるだけでイヤになってくるな。」
「私のサンダル、ハイヒールなんですけど…」
「普通はそゆ娘を連れて来ない場所だよな。」

はっきり言ってフリフリスカートにハイヒールのおにゃのこには酷な階段です。
普通ならこの時点でフられてるでしょうね。
展望台はこの上
展望台は? 「はぁはぁ…登り…きりま…した。」
「ふう…あれ?まだ先があるみたい。」
「え…まだあるんで…すか?」
「もう一息がんばろう。」
「は…い…」


「あれ?また階段…」
「ま…だ 上なん…で…すか?」
あれ?


あれれ? 「はぁはぁ…樹ちゃん大丈夫?」
…はぁ…はぁ…


「ご…ごーる…」

「観鈴ーーーっ!」

「はぁ…はぁ…どうし…たん…ですか?」

「いや…青空が痛かっただけだ。」
「はぁ…ふぅ…曇ってますよ?」
「…ちょっと休憩しようか…」
あの道ー何処までもー
コッタロ展望台は最初の階段を登ればすぐだと思ってたのですが、結局小高い山の山頂にありました。
予想以上にハードでしたが、そのぶん眺めは最高です。
細岡展望台と比べるとマイナーな場所ですが、眺めはコッタロの方が良いですね。
観光客が少ないのもポイント高いです。
苦労して登る価値はありますよ。

本日のベストショット

駐車場に降りてきて、地図を確認します。
どうやら来た道の反対側へ行けば国道に抜けられそうです。
来た道を戻るのもつまらないので、逆方向へ抜けることにします。


って、舗装されとるやん!Σ( ̄□ ̄)








あの苦労は何やったんやー!


エラくあっさりと国道に出ることができました。
この心の中に沸き上がるどす黒い感情をどうしろと?

まだ3時と少し時間があるので、
多和平に寄ることにします。
なぜなら大声で叫びたいから。
多和平は360°地平線を満喫できる観光牧場で、レストランなども併設された観光スポットです。
「多和平ぁ〜♪」
「カップルとファミリーだらけ〜♪」
「ほらほら、ライダーさんもいますよ?」
「わりとメジャーな観光地なんだなぁ…」
「さぁ、展望台に登りましょう!」

自称「大牧場」(笑)

大パノラマ

関西では地平線なんて見ることがないので新鮮です。
こういう風景に包まれると、力一杯叫んでみたくなりますね。

「さっきの苦労は何やったんやー!!

あいにくの曇り空でしたが、遠く摩周岳まで望むことができました。

展望台の下にはキャンプ場があり、数名のキャンパーが滞在していました。
芝生のサイトで東屋も点在していて、グループでの長期滞在には良さそうです。
サイト内には風来OPに出てくる階段もありました。
さて、そろそろ和琴半島へ向かった方がよさそうです。
高山氏に5時くらいに到着する旨をメールして多和平を出発します。

多和平から国道243号に出て弟子屈市へと入り、Mobilで給油しながらメールを確認しますが、連絡は入っていません。
とにかく和琴半島キャンプ場にチェックインして待ってればいいだろうとキャンプ場へと進みます。
OPの風景
和琴半島キャンプ場の管理棟で手続きを済ませてメールをチェックすると、高山氏からのメールが届いていました。
和琴に到着して、駐車場で待っていますとのこと。

駐車場、駐車場 ・ ・ ・ ああ、この裏か!

管理棟前にバイクを停め、裏手に廻ると…

居ました、腕に赤いバンダナ巻いた兄ちゃんが!

近づいて声をかけ、まずは自己紹介。
なんで駐車場で待っているのか訊ねると、前回来た時は知らずに国設キャンプ場の方に泊まってしまったそうです。
とりあえずテントを設置して、弟子屈市街へと買い出し&入浴に出かけます。
目指すは公衆浴場
「亀乃湯」、初めてだと絶対にたどり着けない銭湯です。
北海道は温泉は多いのですが、体を洗える施設となると割高になってしまいます。
その点亀乃湯は入湯料150円と格安なので助かります。

銭湯の後は
スーパー摩周にて買い出しです。
ラム肉にとうきび、もやしにジンギスカン鍋を購入、さらにサッポロクラシックを買い込んで和琴半島へと戻ります。

キャンプ場に戻り、地面を掘って釜戸を作って炭火を熾します。
準備が出来たころに、綾乃丞さんから陣中見舞いコールがかかってきました。
電話の向こうの綾之丞さんを交えて、乾杯です。

「高山君の旅の成功を祈って、カンパーイ!」


樹ちゃんも加わってのプチオフの始まりです。
北の地で出会った二人のふうライダーのささやかな宴。
北海道の素晴らしさ、バイクの楽しさ、風雨来記の魅力など話題は尽きません。
愉快なひとときは夜半過ぎまで続き、ビールが無くなったところでおひらきとなりました。
本日の走行距離 : 452km
積算走行距離  :1,697km