7月26日〔土〕

「おはようございます♪」
「うーっす う゛〜 だりぃ…」
「まだ風邪治りませんか?」
「この気温に野宿だからなぁ、さすがの俺も全快は無理じゃよ。」
「今日はこのままゆっくりしますか?」
「何仰ってやがりますか、明日の朝のフェリーに乗らなにゃあかんのよ?」
「あ、そうでした。」
「ま、走っても現状維持くらいはできるからへーきへーき。」
「む、無理しないでくださいね。」


今日は、三連泊した和琴半島を離れ、小樽を目指します。
明日の早朝に出港なので、最低でも札幌まで走りたいところです。
昨夜のnagareさん情報では、旭川まで出て国道275号で南下するのが一番早いらしい。
朝食を買っていなかったので、コーヒーで体を温めただけで撤収開始です。
荷物を積み込み、和琴に別れを告げます。

「さようなら和琴半島、また来年…」
「うわ、来年も来る気満々だし」
「いや、来れたらいいなぁ、と…」



和琴から美幌峠を越えて、美幌町へ。
コンビニで朝食をすませて、国道39号を西へ走ります。
単調なルートを車の流れに乗って、道の駅おんねゆ温泉を目指します。
道の駅おんねゆ温泉は初めて北海道に来たときから、俺の中での休憩ポイントになっている場所です。
ここの茹トウキビを食すのが、美幌峠の揚げいもと並んでの黒猫イベントなのです。
さらに、夕張メロンソフトもいただきます。

「暖かいトウキビの後にソフトクリームてのはどうかと…」
「病気の時にはアイスクリームが良いと冬の公園でストールの少女に教えてもらったのじゃよ」

以前はラベンダーソフトなる物を喰って、エライ目にあったのですが、夕張メロンソフトはなかなか美味でした。

え?ラベンダーソフトの味ですか?
だってトイレの芳香剤の香りですよ?
食いモンにつけて許される香りじゃないでしょうよ。


ここ道の駅おんねゆ温泉の名物は、高さ20mの世界一の鳩時計です。
過去二回の来訪時はタイミングが悪く、稼動するところを見たことが無かったのですが、今回は10時半の稼動を見ることができそうなので待ってみることに。
10時半になると、螺旋階段のところに楽隊の人形が出てきて演奏を始めました。

「わぁっ カワイイ〜♪」
「ちゃうやん…」
「え?可愛いじゃないですか」
「鳩は?」
「ふぇ?」
「鳩おらへんやん…
鳩おらへんのに鳩時計ってどないやねーん!!」
「おおっ、言われてみればそうね。JAR○に訴えられちゃいますね、ふふ…」

鳩時計(偽)を見たあとは、再び西へと向かいます。
留辺蘂の市街地を抜けると、道は大雪山系の林間ワインディングへと入って行きます。
交通量の多い石北峠を抜けると、大雪湖が見えてきました。

「黒猫さーん、左に曲がると高原温泉と三国峠ですよ?」
「チミは風邪を引いている人に、グラベル10kmと遊歩道を歩けと仰りやがりますか?」
「あ、そういえば風邪引きさんでしたね(汗)」
昨日からの風邪の影響により、樹ちゃんスポットの高原温泉沼めぐりは断念。
次回の課題にとっておきます。

しばらく走ると、層雲峡が見えてきました。
層雲峡は柱状節理の断崖絶壁で、大雪山系からの雪解け水が滝となって流れ落ちています。
もっと水量が多かったらナイアガラの滝みたいになっていたんじゃないかな、と思わせる地形です。

体力に余裕があれば、周囲を散策しに行くのですが、現状で歩き回るのは得策ではありません。
木陰で体力回復に専念することにします。
瀑音とそよ風がキモチイイ〜♪

しばしの休息の後、道は旭川市街へと入ります。
このあたりまで来るとしっかり夏の気温になってきて、皆さん薄着で闊歩していました。
道東の肌寒さがウソのような暑さに、上着を一枚脱いで春用ジャケットだけの姿になっても暑いです。
ま、風邪引いてる御身にはコレくらいが良いんだけどね。



途中、郊外でドラッグストアを見つけ、風邪薬を所望しつつ旭川駅に到着です。
駅前にてバイクに乗ったまま威力偵察を行いますが、駐輪場と呼ばれる物は見つかりません。
しかたがないので、歩行者天国の脇(写真左の灰色のビルの下)に路上駐車することにします。
なんか今まで大自然の中に居たので、都会では浮きまくりじゃよ、俺。

つか、人多すぎっ
そういや今日は土曜でしたね。曜日感覚が麻痺してしまっています。

とりあえずは旭川駅前の風景を一枚。
「さあ、歩行者天国を散策しましょう♪」
「うむ、目指すは “まじーんごー!” の噴水だな。
 ところであの噴水ってどこいらへんにあるんだ?」
「えっと… 写真には街路樹が写ってますから、メインストリートから脇道に入った所かと。」
「うい、じゃ脇道に注意しながら散策するという方向で」


脇道をのぞき込みながら歩いていると、風雨来記に出てきた遊具や彫刻が目に入ってきます。
ベンチや街路樹も多く、確かに住んでみたいと思わせてくれる街です。
しかしいくら探しても噴水は見つかりません。
「おかしいですね、通り過ぎちゃったのかしら?」
「それっぽい脇道は注意してきたんだけどなぁ…」
「もしかしたら全然違う通りにあるんじゃないですか?」

歩行者天国を歩き始めて15分、もしや見過ごしたのでは?という不安を感じ始めたとの時。
前方に特徴的なシルエットを発見!
「マジーン、GO!」
「ごー!」

やっと見つけました風雨来記スポット「まじーん、ごー」!!
っていうか

ここでホコ天終わりやんけーっ!!

はぁはぁ、ホコ天端から端まで歩いてもうたやん…
体力使いたくなかったのに… _| ̄|○
ゲーム中の噴水より池が大きくなってるし、何となく背景が違います。
どうやらゲーム当時の場所から移設されたもようです。

「まあ良かったじゃないですか、目的が達成できて」
「はぁぁぁぁ…」
「あら?喜びがないですね?」
「いや、だって来た道を戻らなきゃならないんだよ?」
「あ…」


ここからは国道275号でおとなしく小樽にむかいます。
今まで大自然の中の「いかにも北海道」な道を走ってきただけに、ここいら辺の道はほっとするようなガッカリするような普通の道です。
本来なら美瑛〜富良野方面を走れば良いのでしょうが、体力が無いですゴメンナサイ。
交通量が多く、大型車もたくさん走っているためペースを上げられず、小樽に着いたのは5時過ぎでした。

小樽に入ると夕方のラッシュ時なためか渋滞が発生していました。
そして道端には立て看板があり…

「25(金)〜27(日)小樽潮祭のため市内通行規制有りですって」
「ふーん、今日以上に渋滞するんだろうな〜。 今日じゃなくて良かった…」
「???」























「って今日やんっ!」
「遅っ!!」

旅の間に曜日感覚が麻痺してしまってました、どうりで車が多いと…

小樽駅から運河までの一帯は車両通行止めになっていて、観光客が溢れています。
身動きがとれないので、目に付いたホンダショップに退避。
店長に今夜の宿のことを相談すると、色々と宿を紹介してくれました。

「今日はキャンプじゃないんですか?」
「うん、体調もすぐれないし、明日の朝は早いから撤収準備に時間をとられるのもイヤだしね」
「小樽観光もしたいですしね」
「小樽ビール飲みたいし…」

しかし今日は祭りの日、片っ端から宿に電話をかけるが満室ばかり。
最初に問い合わせたホテルでは、\15,000の部屋なら用意できると言われるが、高価すぎっ!
4軒目のホテルでやっと空室をGET!
親切な店長さんに礼をのべ出発。
教えてもらった通行規制のないルートをホテルへと走ります。

こちらが本日の宿、ホテルニューグリーン。
なんかどっかで見た事があるなと思ったら、綾乃丞さんが北海道中記で宿泊したホテルでした。
「わぁ、黒猫さ〜ん、窓からお祭りが見えますよ
「ホテルの前が練り歩きのルートなんだな」
「見に行きませんか?」
「うむ、6時か…とりあえずシャワーを浴びて…」
「お祭りっ お祭りッ」
「…種ガンを見よう」
「え゛〜〜〜!!」

さすがに二週とばすと話が判らなくなります。
せっかく間に合ったんだから、ゆっくり種ガン鑑賞します。
7時になって潮祭へと繰り出します。
今日はのんびり小樽で過ごして終わりだと思っていたのですが、こんなイベントに巡り会えるとはうれしい誤算。
風邪も小康状態なので、浴衣のお姉さん達を鑑賞しつつ小樽の街を散策することにします。
ホテルの前の交差点ではパレードが最高潮です。
小樽潮祭りは、よさこい系(?)の祭りらしくて各チームがそれぞれの振り付けで踊りながら市中を練り歩いてます。
御輿も出ていて活気があり、過去に訪れた時の小樽とは全く違う雰囲気でした。

祭りのルートに沿ってアーケードに移動すると、営業している本屋さんを発見しました。
明日の船内で読む本を物色します。
祭りのルートから外れると、静かな小樽の町並みが姿を現します。
小樽は坂の街で、背後の山から海に向かって傾斜していて、海に近いこの辺りでも緩やかに傾斜しています。
この街はその昔、東洋のウォール街を目指した街で、街の至る所に古い銀行の建物が残っています。
それらの石造りの建物群がレトロな雰囲気を醸し出していて、自分的暮らしてみたい街ナンバー1だったりします。
小樽にはフェリーの乗り降り以外では来ないので、早朝もしくは夜にしか来たことがないのです。
5日前に小樽に到着したのは早朝、期待に胸を膨らませて旅立っていった場所。
そして、旅から帰ってきた俺を迎えてくれたのは夜の小樽。
ライダーとして小樽は故郷のようにも感じられます。

故郷に帰ってきたらやることは一つ…
「晩酌だな!」
「何言ってるんですか、毎晩呑んでたじゃないですか!」

小樽地ビールを求めて小樽運河へと向かいます。
小樽運河の倉庫街は、レストランやビアホール、土産物屋などが軒を連ねる観光施設になっています。
今回はびっくりドンキーの裏手にある路地の奥にひっそりと佇む炭火串焼きの店「小樽地ビール園」さんにいってきました。
こちらは表通りにあるワイワイ楽しむビアホールと違って、ゆっくり落ち着いてビールを楽しむ雰囲気のお店です。

まずはへレスビールを注文、アッサリした飲み口のビールです。

「んでは一つの旅の終わりに乾杯!」
「かんぱ〜いっ!!」

串焼きはソーセージ・ホタテ・鮭ハラス・ツブ貝・牛タンを注文。
一本80円〜350円。
炭の入った火鉢と共に運ばれてきました。
これらをお好みで塩・醤油で味付けして、自分で焼いて頂きます。
キャンプが続いてるみたいで楽しいですね。
一杯目が無くなったので、次はメルツェンビールを注文、へレスよりもコクがあってしっかりした味わいのビールです。とはいっても市販のブラウンビールよりはアッサリしています。
北海道の海の幸と地ビールで、最後の夜をちょっぴり豪華に過ごします。

結局メルツェンをもう一杯お代わりしてホテルに戻りました。




本日の走行距離 : 423km
積算走行距離  :2,921km